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新規事業の事業性検証と意思決定支援 — 進める案と見送る案を仕分ける
紙の電子化と保管を手がける企業が、次の事業の柱を探す。複数の新規事業案を同じ物差しで評価し、進める案と見送る案の判断まで伴走している事例です。
SUMMARY 概要
| 業界 | 文書管理・電子化サービス業 |
|---|---|
| 規模感 | 少人数体制の地域企業 |
| 課題領域 | 新規事業開発・事業ポートフォリオの意思決定 |
| 支援範囲 | 市場調査、営業戦略立案とアタックリスト作成、コーポレートサイト刷新版の制作、設備投資に向けた補助金申請書類の作成、新規事業案の事業性検証とポートフォリオ判定、定例会議での意思決定伴走 |
| 期間・体制 | 継続支援中(伴走型) |
ISSUE 課題
同社は、企業から預かった紙の書類や図面をスキャンして電子化し、原本を保管するサービスを手がけています。そのうえで、次の事業の柱をどこに置くかが論点になっていました。新規事業の候補は複数ある一方で、それらを同じ条件で比べる材料は揃っていません。少人数の体制では、走り出した案を途中で止める余力もありません。着手する前に、進める案と見送る案を分ける必要がありました。
APPROACH 支援内容
案ごとに深掘りするのではなく、すべての案を同じ物差しに載せてから比べる、という順番で進めました。
- フェーズ1: 既存事業の営業基盤を整える — 電子化サービスの市場を調べ、狙う業種を製造業と建設業に絞り込みました。そのうえで102社のアタックリストをランク付きで作成し、初回商談で使う説明の組み立てと商談資料を用意。あわせてコーポレートサイト全9ページの刷新版を制作し、問い合わせフォームまで実装したうえでプレビュー環境で関係者に共有しました。
- フェーズ2: 市場の見立てと投資判断の材料をつくる — 電子化市場の規模と伸びしろを試算し、業態を変える場合の候補を並べて優先順位を付けました。大判の図面まで扱える機器の導入に向けては、事業計画書・経費明細・賃金引上げ計画を含む補助金の申請書類一式を作成しています。
- フェーズ3: 新規事業4案を同じ物差しで検証する — 法人向けの業務代行から個人向けのデジタル保存まで、4つの案を同一のフレームで評価しました。市場性、自社の強みとの相性、投資回収の見通しを案ごとに書き出し、先行・並走・保留・見送りの振り分け案として経営層に提示しています。
- フェーズ4: 定例に入り、判断まで付き添う — 毎週から隔週で開かれる定例会議に継続して参加しています。案が固まりきらない段階では、需要を確かめるヒアリングの設計と結果の整理を担い、議論の進行と論点整理を受け持っています。
OUTCOME 成果
進める案と見送る案を同じ条件で比べられる材料が揃い、実際に一つの案は検討終了の判断まで到達したことが、この支援の成果です。4案は同じ評価軸で並べたうえで、先行・並走・保留・見送りの振り分け案として経営層に提示しました。思い出を預かってデジタル保存する案は、需要ヒアリングが想定どおり進まなかったこと、目標とする売上規模に届く見込みが薄いことを踏まえ、検討終了を正式に決めています。設備投資に向けた補助金も、申請書類一式を作り切ったうえで当年度の申請は見送り、次回公募に向けて保留する判断としました。進行中の案については、社内で意思決定を主導する体制づくりを先に置き、開発着手は保留としたまま定例での検討を続けています。
POINT 支援のポイント
この事例の型は、新規事業を「比べられる形」にすることです。案は数が増えるほど比較が難しくなり、声の大きい案から着手されがちです。市場の見立て、自社の強みとの相性、投資回収の見通しを同じ項目で書き出し、案を横に並べる。そうすれば、経営は好みではなく条件で判断できます。あわせて、見送りを失敗ではなく判断結果として扱うこと。少人数の組織ほど、着手しないという決定が次の一手の余力を残します。